imjhの○っき

なんかいろいろ思いついたことを書き散らしているだけ

Mandingoを見てきた

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何やら仰々しい煽り文句にうさん臭さを感じつつも見てきました。

 

映画『マンディンゴ』公式サイト

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(参考)公式サイトより


 最近はほとんど見かけませんが、昔の映画館はこの手の巨大看板がよくかかっていましたね。有名大作映画を彷彿させるステキなロードショーポスターを見る限り、「逞しい黒人青年とブロンド白人美女の情熱的な恋」「美しい黒人女性に救いの手を差し伸べる眉目秀麗な白人青年」「人種差別の風が吹き荒れるアメリカ南部、若い恋人達の愛の讃歌を描いた感動のヒューマニズム映画」という印象を受けますが、はっきり言って嘘っぱちです。そんな映画ではありません。二組の美しい恋人達の下に小さく描かれている内容が本題です。椅子に座って黒人奴隷を裸足で踏んづけている白人のおっさん、逆さ吊りにされて尻を殴打されている黒人奴隷、こういう内容です。右下の男塾でお馴染みのワンシーンのような場面、「こいつら何やってるの?」とひじょうに気になりますが、死闘を繰り広げた黒人青年と白人青年の間に熱い友情が生まれることもありません。

 このうすら寒い嘘ポスターを「有名大作映画に対する痛烈な皮肉」と見るか、「有名大作映画に便乗して集客するタチの悪いパクリ」と見るかは意見の分かれるところですが、2021年現在、特に深く考えていない映画配給会社による過去の遺産の再利用にまんまとうまいこと騙される我々一般大衆という構図ではないでしょうか。少なくともわたしはそう。

 パンフレットの煽りによると、1975年に公開されたがその衝撃的な内容から不当な低評価を受けてきており、映画界から意図的に抹消された存在の映画が遂に日本でリバイバル上映!ということなのですが、見終わった率直な感想として「たいしておもしろくない映画」でした。この映画が映画史に残ってないのもまあ納得。
 映画を作った人や、上記リンクで絶賛コメントを書いているような人達は思い入れがたっぷりあるようで、この映画は素晴らしい傑作であり、低評価をする人間は情緒的人間的あるいは政治的に問題がある差別主義者権威主義者であると言わんばかりの鼻息の荒さ。映画評論家によると、タランティーノが「これはすげえ映画だ!」と評価したことで再評価につながったとかなんとか。実際にタランティーノ氏がどういう発言をしたかは定かではないのですが、タランティーノがニッコリする映画は良作というよりむしろクソっぷりが際立つ映画が多いことは周知の事実なのに、映画ファンに人気のタランティーノ氏の発言を本作品の権威付けにしたかったのでしょうか。評論家だったら自分の言葉で語ってほしいですね。

 

 映画としての面白さはともかく、見ていてどうにも気になったのが「Mandingo」とはいったいなんなの?ということです。映画中で「Mandingoとは〜」と触れられることもなく、映画評論家の夏休みの宿題みたいな感想文がたくさん掲載されているパンフレットにもなんの説明もありません。
 これは自分で調べるしかないのね、いいよいいよネットで調べればすぐ分かるもんねと調べたのですが、さっぱり分からない。そもそも英語圏の人達も「Mandingoって何?」とネット上で論じている状態。
 いくつか調べてみたところ、

  • Oxfordなどのまともな辞書によると、アフリカ西部の民族/部族の名称、アフリカ西部のある言語圏に属する民族の名称
  • Urban Dictionaryというあまりまともでない辞書によると、「ものすごいバカ且つバカっぷりを隠そうともしない○○系アメリカ人」(「man+ding-dong」という造語として登録されているようだ)
  • Reddit等の情報によると、アルゼンチンの民間伝承で典型的な悪魔の名称のこと。以前アフリカに存在していたMandingo部族は他部族に滅ぼされたのだが、スペインの神父が語った「Mandingo部族は悪魔崇拝をしていた為に殺された」という話が、いつしか「Mandingo=悪魔」となったとかなんとか。

 といったあたりが見つかったのですが、こういった意味では映画の中で「ついにMandingoを手に入れたのか!!!」「Mandingoの証明書もあるよ!」と大喜びをしている白人親子の喜びっぷりがわからないんですよね。これはもう原作を読むしかないのでしょうか…めんどくせえ…

 

 

ここから先はネタバレ
 Mandingoという言葉以外にも謎があります。それは、「白人夫婦はいつ子供ができるような行為をしたの?」です。
 劇中に登場する白人夫婦は初夜を迎えて以来、修復不可能なほど関係が冷え切ってしまい、そういった行為をする雰囲気が更々ありません。しかし、奥さんが黒人奴隷と浮気(というか、主人と奴隷の関係で半ば強迫的に行為を要求)して妊娠、黒人の子供を出産するさいに、旦那は落ち着かない風にタバコを吸いながらソワソワウロウロ、奥さんは生まれた子供の肌の色を産婆に尋ねます。いやいや、あなた方、初夜以降に子作りしてた?してませんよね?なんで自分達の子供が生まれる前提なの?
 映画があまりおもしろくなかったこともあり、私が見逃していたのかもしれないと、内容を思い返してみたが、時期的に初夜の時の子供でもないし、その後はうーんないよなあ…はっ!そう言えば、夫婦の父親である農園の主人が、髪の毛ボサボサの飲んだくれた妻(義娘)に「髪を梳かせ」と叱り、夫(息子)を大声で呼びつけ、「部屋に鍵をかける!行為をするまで出てくるな!」とかなんとか言うシーンがあったのです。あの時は「セ○クスしないと出れない部屋」というネタはこの頃からあったのかなあフフフ、などとボケーっと考えていたのですが、この時だったのでしょうか?でも、そんな雰囲気なかったよなあ…

 

 というわけで、なんとも煮え切らない映画でした。